【書評・要約】カール・マルクス『資本論』を簡単に要約してみた。読むと経済活動の本質的な仕組みがわかる。

 

はじめに

マルクス『資本論』、知っていますか?この本実は全13巻もある超大作です。

作者は哲学者であり、思想家であり、経済学者であるカール・マルクス

この資本論は現代を生きる我々に重要な示唆を与えてくれる必読書の一つです。

普段、時間がなく、読めない方は少し目を通していただくと、この世界の社会や経済の本質的な構造が見えてくるのではないかと思います。

 

マルクスの結論

このままでは資本主義は、崩壊する。

 

その理由は、資本家が労働者を酷使しすぎているから。

マルクスは指摘しています。

では資本家はどのように労働者を酷使しているのか、次の章でまとめました。

 

資本主義の構造

国によって経済システムは様々ですが、多くの国が採用しているのが「資本主義」です。

資本主義とは、資本を持った資本家と労働力を提供する労働者という2つの立場によって構成される世界です。工場や生産システムなど元手を有する資本家が、結局は得をし、金持ち中心の弱肉強食の世界が加速するということをマルクスは述べているのです。

簡単な関係性を示すと

資本家 ⇨ 雪だるま式に金持ちになる

労働者 ⇨ 最終的には「奴隷」と化す

ということになると述べています。

 

「搾取」の構造

労働に見合った報酬が支払われない状態のことを「搾取」といいます。

ここからは資本主義社会の仕組みを見ながら、マルクスが指摘する問題点について把握していきましょう。

人間が無数の細胞によってできているのと同じく、資本主義社会も「商品」という細胞でつくられています。「商品」の存在がこの経済の中心的な構成要素です。

我々はいつも値段が付く商品に囲まれています。

みなさんはこの「値段」、どのように決定されると思いますか?

この値段の差は何によって生じるのでしょうか?

マルクスは「労働力」の量によって、値段が決まるとしています。

つまり、商品の値段とは

労働力の大きさ=どれだけ時間と手間をかけたか

という基準で決まるということです。

例えば、木という原料についてみてみましょう。

●拾ってきた木材

これは拾う時間さえあれば手に入るので、値段は安い。

●加工した机

こちらは材料を用意し、そのうえで工具や職人の技によって加工するという過程が生じます

その分、商品化されるまでに「時間」と「労働力」が必要です。これにより高額になります。

しかし、技術革新が進み、ボタン一つクリックするだけで机が作れるようになれば、大幅に値段が安くなるという理論になります。

 

価値と労働力は釣り合うべき

本来、マルクスは「商品の価値」と「労働力」は釣り合うべきだとしています。

しかし資本主義においては、釣り合うようにできておらず、大きな誤差が生じていると指摘しています。この誤差とはどのように生まれるのでしょうか?

それは労働者の労働力は、対価として支払われる賃金よりも大きな価値を生み出しているという点にあります。つまり、人間は一生懸命に働くと給料よりも大きな価値を生み出すことができるのです。

マルクスは働いたら、それと同等の対価(給料)が支払われるべきなのに、資本家がその分の利益を総取りしているといいます。資本家は、労働者が明日も働ける分だけの再生産費(労働力にたいして支払う給料・生活費)しか払っていないとしています。

「これで明日も働いてくださいね」

健康的な食生活を維持するためだけのお金だけということです。

 資本主義の構造

労働者が生んだ価値-労働者に支払う給料=資本家の利益

 

負のスパイラル

 資本家の利潤獲得には、さらなる生産性向上の為に再投資する為に蓄えるという目的もありますが、これは労働者を苦しめ、最終的には立場を奪う可能性があります。

利益からまた労働力を雇う、優秀な技術者を雇い、能力がない労働者を解雇していく。

これにより、資本主義は「巨大資本の誕生」ととともに「労働力のコストダウン」という循環式が作られます。

物価が安くなる ⇨ 物価に合わせて給料(生活費)も減らせる

 

加速すればするほど、資本家が強く、労働者が弱くなる

資本家は、設備とそれに対する労働力、再生産費だけで半永久的に儲けることができるのです。

 

資本主義のメリット

 一方、ここで重要なのが、資本主義には数え切れないほどの利点があるのも事実ということ。

 競争という原理は人間に想像を超えるアイデアを生み出します。これにより、加速度的な進歩が生まれます。我々の周りにあるシステムはほとんどが資本主義によって誕生したものばかりです。そうでなければ、AppleやGoogleのような大きな利益をもたらす大企業が誕生するのは、もっともっと後で、お目にもかかれなかった可能性があります。

 

 人間は進歩ともに、状況に応じて「主義」を変えてきた歴史があります。

 例えば、文化水準が安定しておらず、人類がまだ争いに満ちていた時代では戦争で勝つことが、発展への1番の近道とされていました。そのせいで、国家の統制や、物資の管理を強制的に行う必要があり、社会主義や軍国主義がその時は最も効率的であったことも事実です。現に、戦時中や戦後で早く発展・復興を遂げた国々は資本主義ではなかった国が多いです。

 ただ、歴史的な事実として言えるのが、ソ連や中国といった国々は、社会主義や共産主義を採用し、継続していった結果、先に崩壊をしています。その主な理由は

 

・どんなに働いても報酬が一律

・社会的手抜きが生まれる

 

 進化が止まり、経済が停滞、様々な面でシステムに不具合が生じたのです。このことから。社会主義や共産主義の問題点も多く存在することも押さえる必要があります。

 

「資本論」から学べること

 現代は「労働」や「働き方」に対する意識が非常に高まっています。粗悪な労働環境、ブラック企業といったものはとても恐ろしく聞こえるし、どうせなら良い環境で、幸せを感じながら働きたい、誰もがそう思います。

 マルクスが主張した論は、行き過ぎた資本主義にならないよう歯止めをかけていると言えます。日本では、労働基準法によって国がある程度、悪質な企業から我々を守ってくれます。これも労働者の権利が確立されている現実があるからこそ。

 また日本では、大きな過失がない限り、一度雇ったら雇い続けなくてはならない。これについては賛否両論あるでしょう。いずれにしても労働者の権利が尊重されているという証拠です。

 このように、多くの国々において労働環境改善には『資本論』が影響しています。このままでは労働者が反乱を起こす、だから資本家は気をつけなさいよ、とうまい具合に歯止めをかけていると言えるのです。

 

我々も新たな時代において、価値を生み出せる存在になることが重要ではないかと思います。

 

Thank you.

 

 

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