知的戦闘力を高める哲学

 

 

”疎外” マルクス

 

疎外とはなにか

人間が作り出したシステムによって、人間が振り回される。

 

「疎外」とは、人間が作り出したものの能力が人間から離れ、その範疇を超えてしまい、結果として人間をコントロールしてしまう逆転現象のこと。

 たくさんの技術が発明され、発展する現代社会において、人間が機械を凌ぎ、より高みへと歩むためにはどうすればよいのだろうか。

 本来「労働(labor)というのは人間にとって創造的な活動(work)であるべきだ」とカール・マルクスは述べた。つまり、働くことの喜びを感じることが人間にはでき、それが重要な武器となる。

しかし働くことの喜びを感じている現代人は、いったいどれほどいるのだろうか。

 

疎外には4つある

マルクスは「疎外」に4つのパターンがあることを指摘した。

1労働生産物

2労働

3類的

4人間(他者)

 これらに共通項は、目的とシステムの間に想定された主従関係が逆転し、システムが主となって目的を従属化しているということだ。

こんな状況では、理念や価値観といった内発的なものによって望ましい行動を促すのが重要である。

やりがい、使命感、達成感、好きという気持ちに動かされること。

 

 

まとめ

 現在、AIやIoTなど情報技術産業が加速度的に発展している中で、「シンギュラリティ」という言葉も注目された。これからは、人間ができる大半のことがロボットで代替可能となる。計算や作業ではすでにロボットに勝つことは不可能だ。では人間に求められることは何か。それは「無いものを想像できる力」だ。現在人間にできて、ロボットにできないことは「目的を考えること」だ。ロボットは膨大なデータを比較分析類推演算することを得意とするが、何のためにそれをするかという「目的」は、人間が与える必要がある。

 

 『サピエンス全史』著者ユヴァル・ノア・ハラリは「人類がここまで発展できたのは『無いものを想像する力』があったからであると述べている。人類学的に、人間は「無から有を創り出す」ことで、自然への感謝、畏怖の念といった未知のものを創り出し、どこの誰かもわからない他者と共通項を元手に力を合わせることができた。

各々が人間が人間たらしめる根拠を明確にし、創造的に活動することこそこれからの社会を生き抜く手がかりとなる。

 

 

Thank you.

 

 

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