【知識】「エビングハウスの忘却曲線」とは?
はじめに
人間は忘れる生き物である。
それは欠点ではなく、生きていく上で重要な「能力」である。
忘却のメカニズム
「忘却」とは
「忘れる」ことに対してどんな印象をお持ちだろうか。
物忘れ、誰もが必ずしてしまうこと。悩みのタネである人もいるかもしれない。
どんなに頭のいい人でも、人間である限り忘れる。
人間の持つ、記憶力は頼れるものではない。
脳は忘れるようにできているのである。
このことは脳科学で100年以上前に実証されている。
エビングハウスの忘却曲線
まず、興味深い疑問がある。
「あなたは今日起きたことの何パーセントを、明日覚えているだろうか?」
予想はどうだろう。
この答えは記憶に関する実験研究の先駆者ヘルマン・エビングハウスが導き出した。
横軸が時間の経過、縦軸が記憶残量。
この実験によると、
1時間経つと56%
1日経つと74%
のことを忘れると実証された。
繰り返すが、人間は1日で74%のことを忘れるのである。
さらに興味深いのは、さらに時間が経ったあとの記憶残量の推移だ。
1か月後の忘却の割合は79%となっている。
つまり、1日後と1か月後の忘却量に大きな差がないことがわかる。
効果的な記憶術
「忘れることは仕方がない」と考えるのも簡単だが、確実に記憶したいこともある。
現在の社会は一定程度の記憶力は必要とされる。
この学説を踏まえた上で、効果的に記憶するためには、ポイントが2点ある。
それはものごとを記憶する際に
・1度で覚えようとしない
・繰り返す
結局気合を入れて覚えても忘れるメカニズムになっているなら、完全に覚えようとするより、時間を置かずに反復することが効果的だ。
まだ、80%を記憶している段階で、2回目を繰り返す。この段階では80%を覚えているから、新たに記憶し直すのはたったの20%、しかもその20%は一度覚えたものであるから、思い出すという利点もある。
何度も繰り返すのは精神的にも苦しい。だからこそ、「手を抜いて反復」することが重要である。
「労力を半減させ、覚えている期間を倍増させる」という意識で取り組むことが効果的である。
最後に
パソコンやスマホもそうで、データを入れるキャパシティ(領域)には限界がある。
自然と要らないデータを削除してくれる人間の脳は、何と高機能なのだろうか。
「忘却」とは人間が持つ、重要な能力である。
忘れることで、新たに学ぶ領域が増える。
Thank you.